■業務用途に特化されたビジネスザウルス
パワーザウルス2(MI610/610DC)の直後に発表されたビジネスザウルスは外観的にはパワーザウルスシリーズに似ていますが運用思想の根本は全く異なっています。
パワーザウルスは個人利用が中心となり、その環境は各々バラバラでデータの送受信やプログラムのバージョン管理も1台づつ行う必要があります。
MOREソフトなどで受注システムを組んだ場合を考えるとパワーザウルスを使った場合はホストからザウルスへのMOREソフトの転送(バージョン管理含む)商品マスタ等へのデータ転送、入力されたデータのホストへの転送、ザウルス内部のデータ更新(ファイル削除等)、時刻合わせなどは手作業が必要となります。
これらの作業をユーザー側が行えば余分な作業時間が必要となり営業効率が落ちますし、システム管理者側がこれらの処理を行うと台数が増えるにつれ負担は台数増加率以上に増えます。
また、MOREソフトの実行方法、データリンクの方法、データメンテナンスの方法など運用に関する教育コストも想定以上にかかることになります。
BI300カタログよりビジネスザウルスはこのようなシステム運用上の負担軽減(TCOの削減:Total Cost of Ownership)を前提に考えておりユーザー及びシステム管理者側の運用負担が少なくなるような様々な機能が搭載されています。
その象徴的なものが「業務キー」で必要とするアプリケーションをワンタッチで直接起動することができます。(購入直後このキーには何の機能も割り当てられていません、MOREソフト等で作成したアプリケーションを割り当てることができます)
電源キーと業務キー以外を無効にすることなどもでき、勝手にMOREソフト入れてゲームで遊ぶという行為を防ぐことができます。(誤操作によるデータ消去の防止という意味合いのほうが大きいのですが)
BI300 CE-IR15 CE-CB1のシステム運用
極端な場合、スケジュールやアドレス帳といった基本的PIM機能を全く利用できない設定にしてビジネスザウルスをCPUとディスプレイ、タッチパネル、通信周りが搭載された「プログラムや通信可能な箱」として利用する専用システムの構築も可能になっています。
またビジネスザウルス複数台での運用の効率化を目的としたMCOP(Mobile Communication for Power Zaurus)システムが用意されており、周辺機器のクレードル(CE-IR15:4Mbit/秒)とコミュニケーションボックス(CE-CB1)を組み合わせることでパソコンと組み合わせた自動立ち上げによるザウルス内部データの自動送受信やMOREソフトなどの自動更新、内部時刻同期などを実現しています。
この他にもハンディプリンタ、バーコードリーダといったハンディターミナル的運用に必要な周辺機器、長時間運用を可能とするスーパーモバイル液晶(バックライト無し反射型液晶パネル)搭載機種などが用意されており営業活動支援システムだけでなく、検針やメンテナンスなどのデータエントリ、病院などでの利用など使う場所に応じた機器構成をとることができます。
■ビジネスに対応したシステムの構築環境の充実
・組みにくかったMOREソフト
パワーザウルス向けのプログラム開発環境は事実上C言語ベースのMOREソフトしか存在しませんでした。(ADLという簡易言語も一時存在していましたが主流から外れています)
CE-KT5というMOREソフト開発環境はZaurusOSのAPIを駆使しパワーザウルス/ビジネスザウルスのハードウェアに密着した高度なソフトを組むことができる反面、APIやクラスライブラリ、C言語の習得、画面周りのリソース定義の複雑さなど考えると専門的知識を有するシステムベンダやシステム部門が対応しないと組むことができません。
また、本格的にビジネスで使おうとした場合パワーザウルス上で稼働できるシステムは未知数な部分が多いためプロトタイプを作りながら改良を加えるという技法も使いにくいものでした。
また、部課単位で独自のシステムを組み運用するなどという目的に対してCE-KT5によるMOREソフトの作成は難易度の高いものといえます。
ただし、CE-KT5にも改善が加えられ画面周りの定義がしやすくなるようです。
・簡易開発系
別ページでも解説していますが、パワーザウルス/ビジネスザウルスの開発環境も徐々に充実しており簡易開発系として「ル・クローン」が間もなく発売されます。
こちらは別ページで解説していますが、非常に簡単な画面定義とデータベース構造定義が特色でMS-ExcelのマクロかVBAで処理手順を組んだことがあればル・クローンベースのプログラムをすぐに組むことができます。
・市販パッケージ
見積システム、受注/売り上げ管理といった汎用的な業務に関しては既にパッケージ化されたMOREソフトの販売が開始されており、これをベースにカスタマイズを加えることで導入コストを抑えた運用が可能となります。
市販パッケージ解説ページは記述中です、MOREソフトのパッケージを作られたメーカーの方、よろしければ資料をご提供下さい。 解説ページに反映させたいと考えています。
・グループウエアへの対応
Lotus Notes,Notes Dominoに対するデータリンク環境も「ザウルスリンク for Lotus Notes(CE-KT6)」として発売されています。
Lotus Notes,Notes Domino環境に組み込むことでビジネスザウルスをグループウェアのアクセス端末として利用することができるようになります。
CE-KT6を利用するとNotes環境とのメールによるデータ交換(リモートアクセス)が可能になりビジネスザウルスのメールに添付したデータをNotesアプリのデータに反映させたり、Notes文書をビジネスザウルスの添付データに変換してメールに添付してビジネスザウルスに送信するという運用が可能になります。
また、Notesクライアントとなっているパソコンとの間での光通信によるNotesデータの交換が可能となります。
MS-Exchange Serverとの連携に関してはコンセプトモデルが提示されていたものの実際にシステムを組むにはIIS(Internet Information Server)上のASP(Active Service Pages)に対応したVisual Basicによるプログラミングが必要になるなど相当高度な技術を要求されそうです。
■大まかな価格
ビジネスザウルス関連製品は全てオープン価格のため、標準価格が提示されませんが、パワーザウルスのプレスリリース時に大まかな価格帯が提示されたようです。
インプレスPC-Watch シャープ、反射型カラー液晶を搭載したザウルス より
製品名 | 仕様 | (サンプル時) |
BI-H318 | HR(反射型)液晶搭載 18MBメモリ | 150,000 |
BI-T318 | バックライト液晶搭載 18MBメモリ | 150,000 |
BI-T310 | バックライト液晶搭載 10MBメモリ | 130,000 |
(参考)MI-610 パワーザウルス |
バックライト液晶搭載 10MBメモリ | 130,000 |
CE-IR15 | Irクレードル(光通信ステーション) | 22,000 |
CE-CB1 | コミュニケーションBOX(光通信ステーション-Ethernet変換) | 230,000 |
CE-KT5 | MOREソフト開発環境 | 35,000 |
Cコンパイラ | MOREソフト開発用C言語 | 180,000 |