■まだ60点

 アイクルーズにはデータ通信用のクレードルが標準添付されリンクソフトも「ザウルスパワーコネクションVer2.0」に変更されました。

 このパワコネV2は従来の「ザウルスパワーコネクション」と「ザウルスパワリンク for Outlook97/98」が一体化されたものとなり、マルチメディア系データ&Outlookとのシンクロに関しては一発でできるようになりました。

 しかし、パーソナルデータベースから発展した「Myコンテンツ」に関しては相変わらず「ザウルスパワーリンク for MS-Access97」を利用する必要があり、一体感を損ねています。

 またパワコネV2をしても完全なシンクロは実現できず、Outlookとの項目の違い、ふりがなの問題、絵文字の問題、送受信メールの問題など解決できていない点が多々あります。

 また、インターネットライブラリデータがパソコンに取り込めないなどアイクルーズで得た情報をフィードバックする事もできません。

 従来から言われていることですが、「Zaurus on Windows」的にザウルスにきちんと対応したソフトの登場が待たれるところです。


■リンク可能なソフト

 アイクルーズの仕様を見ると従来のMIシリーズとはデータ構造を変えている可能性があり、「MIシリーズ対応」とされているデータリンクソフトでも対応仕切れていない可能性があります。

・PowerPIMM

 現時点で正式に対応しているとされているのは前述の「ザウルスパワーリンク Ver2.0」と「PowerPIMM3.5」に限られています。

 PowerPIMMに関してはこれ自体が独立したPIMソフトであり、単体で動作することが前提となっています。 それに加えてザウルスやWizなどとのデータリンクを行うための通信モジュールが登載されているという仕様で、ある意味でOutlookとザウルスとの関係と変わらない仕様となっています。

 データ項目の整合性としてはOutlookより上回るのですが、絵記号に関しては対応できていないなどザウルスとの連係を取るには問題を感じます。

 動作も全体的に重いことや操作体系がWindows の常識と違う部分があるため使いにくさを感じます。

 選択肢が少ないとは言え、これを積極的にお勧めすることは無いでしょう。


・Outlook97/98

 パソコンを買うとPIMソフトとして標準添付されている場合があるため、持っている人も多いようですが、買うと1万円以上します。

 非常に多機能なソフトで、アドレス帳やスケジュールといった基本的PIM部分からメール送受信への対応とMS-Officeに含まれるデータとの連係性など日常の仕事はすべて管理できるようになっています。

 ザウルスとの連係は「ザウルスパワーコネクションVer2.0」を使います。

 この場合も前述の通り相互のデータ項目に不適合な部分があり、原因不明のエラーが出たりデータが転送できない、欠落するなどの問題を生じることがあります。


■クローズド政策のツケ

 ザウルスとパソコンとのデータ交換に関してはかつてZauBASEというソフトを作って配付したことがあり、MI系も設計を担当したことがあるのですが、シャープさんが情報をなかなか出さないため、特に通信部分で困ることが多いようです。

 また、データ構造に関しても機種毎に微妙に異なり、現物合わせをしないと正常なデータ交換ができません。

 ザウルスは長らく独自OS/独自アプリの世界で動いており、パソコンが高価で難しかった時代はシンプルな機能を安価に提供するという点では非常に成功しましたが、その反面内部仕様は秘密主義の壁の向こうに隠され、ユーザーだけでなくソフトメーカーにもなかなか公開されません。

 そのため、ソフトハウス等利益を考えてソフトを作ると冒険的な物ができず、八方美人的な内容となります。

 また、チャレンジし過ぎるとマニアックになりすぎます。

 ユーザーが作ろうとすると最大の難関になるのがパソコンリンクの通信フォーマットで、安定した通信を実現するまでにかなりの解析とトライアンドエラーが必要になります。

 通信ができると次はデータ構造解析が必要になり、よほど暇と根性がないとソフト作りができません。

 ザウルスが170万台出ていると言われていますが、ユーザーがリンクソフトを作って公開している事例は10人程度しか見たことがありませんので、作りにくい状況にあると言えます。

 ユーザーが作る場合は採算など考えずに一部データの互換性だけ考えるので「用途にあった」ソフトが提供できます。

 今時はVisualBasicにVisualCにせよ通信用OCXさえあれば部品的に通信部分ができてしまうため簡単にソフトを公開できると思うのですが、シャープさんが政策を変えない限り無理かな〜。

 MOREソフトも盛り上がりに欠けるし、周辺ソフトもソフトメーカーは継続して発売しているようですが、ユーザーが作る面白いソフトは少ないのが現状です。