■建前と本音(^^;
まず、本音を言えば日本国内で通信する場合とは若干の違いがありますが、ザウルスを使った海外での通信は可能です。
海外でザウルスを使うこと自体は禁止されているわけでは無いので自己責任で利用することができます。(ただし、ザウルスの場合保証規定は日本国内だけで有効で、海外で故障しても対応できません)
海外で利用する際の問題点は「ACアダプタの仕様」と「モデムの認定」です。
ACアダプタは海外の電圧に対応できるアダプタやプラグ形状アダプタを購入すれば済みますが、モデムの認定だけはクリアできないためリスクを十分に承知した上で自己責任による利用をする必要があります。
■ザウルス用ACアダプタの例
ACアダプタの表示 パワーザウルス付属ACアダプタではAC100V〜240Vとなっています。(ただしメーカーが100V以外での利用を推奨しているわけではありません) |
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MI-C1用ACアダプタEA-65の例 このアダプタはAC100Vまでしか対応していません。 |
◆参考)ザウルス各機種の電源
機種 | 電源 | 充電池型番 | 充電器/ACアダプタ 仕様 |
MI-10 | 充電池 7.2V 1300mAh |
EA-BL01 | 付属 EA-55 100〜240V |
MI-100 | 単4電池 1.5V x 2 |
別売アダプタ EA-59 100〜240V DC 5V |
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MI-310 | 単3電池 1.5V x 2 |
別売アダプタ EA-59 100〜240V DC 5V |
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MI-500 | 充電池 7.2V 750mAh |
EA-BL02 | 付属 EA-56 AC100〜240V |
MI-610 | 充電池 7.2V 750mAh |
EA-BL02 | 付属 EA-56 AC100〜240V |
MI-P1/P2B/J1 | 単4電池 1.5V x 2 |
別売アダプタ EA-59 AC 100〜240V DC 5V |
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MI-EX1 | 充電池 7.2V 800mAh |
EA-BL03 | 付属 EA-56 100〜240V |
MI-C1 | 充電池 3.6V 800mAh |
AD-T15BT | 付属 EA-65 AC100V DC 5V |
MI-P10 | 充電池 3.7V 550mAh |
EA-BL06 | 付属 EA-66 AC100V DC 4.5V |
ACアダプタちょっとした裏技
MI-C1に付属のEA-65はAC 100V対応ですが、MI-P1など用のEA-59も使えるため海外で利用する場合はEA-59を入手すれば良いことになります。
またセンタープラス仕様のDC 5V出力ができるACアダプタも使えるので純正品にこだわらずに小型軽量のものを選べば良いこといなります。
■コンセント形状変換アダプタ
海外のコンセント形状は日本のものとは違うため、変換アダプタが必要となります。
アダプタはパソコンショップの他、空港の販売店でも入手できます。(成田空港など)
■最大の問題はモデムの認定
建前にあたるのがこのモデムの認定です
内蔵モデム、またはCFサイズモデムを利用する場合に法律面での建前がありあます。
これはザウルスのマニュアルにも記述されていることですが、「内蔵モデムは日本国内での使用を目的に設計されておりますので海外では利用できません」というものです。
またMI-P1/P2/P10/J1C1用のTDK DF56CFも日本国内のみでの利用しかできません。
これはモデム回路のの電気的仕様の違いの他に、各国における電話回線との適合を認定する認定証の問題があるためです。
日本国内においてモデムを認定するのはJATEと言う組織であり、ザウルスシリーズでもモデムが内蔵されている機種はここの認定を受けています。
モデムの規格認定証 このマークが日本国内における仕様を満たしているということの証明になります。(MI-610の例) |
この認定はあくまで「日本国内」におけるものであり、海外では有効ではありません。
また、海外には各国それぞれの同様な認定規約があり、それを満たさないものは利用することができないことになります。
厳密な法律解釈をすれば利用する国での認定を得ていないものを利用すれば法律違反であり罰せられる可能性もあります。
■本音はまず大丈夫
ただし、電話回線の基本的な仕様は各国でほとんど共通であり、よほど無茶なことをしない限り問題が生じることはありません。(と言って私が利用を進めるわけではありません(^^; )
自分で責任を取る前提なら海外でザウルス内蔵モデムを利用することはできるのです。
■海外運用におけるリスク
ネットワーク上で海外通信体験者やモデムなどの技術者が発言している海外通信におけるリスクに関してまとめてみました。
3.内蔵モデムが壊れる可能性がある
これは一般的な電話回線であれば可能性が低いのですが、ホテルなどの自前の交換機を利用している回線によっては回線にかかる電圧が日本国内の回線より高い場合があります。(また、PBXの制御信号などで不要な電流が流れる場合があります)
そのため、モデムLSI他の内部回路が壊れる可能性がありモデム以外にも影響が及んだ場合、ザウルスが動作しなくなる可能性もあります。(同様の理由で国内のホテルでも壊れる場合もあります)
最悪の場合は部品が焦げて煙が出ることもあります。
自衛策として事前に回線電圧をチェックするための回線チェッカなどを利用します。
2.回線を壊す可能性がある
これはモデムが壊れる場合と同様に、規格外のものが電話回線に繋がった時に電話回線側の回路に過電流などが流れ回線保護のためのヒューズを飛ばしてしまうという問題があります。
普通の状態でモデムを差しただけならこのようなトラブルは生じにくいのですが、モデムを繋ぐために電話回線をいじった時などに誤って他の電源とショートさせてしまうと起こりうる状態です。
電話回線の例 これはモジュラジャックですが、電話回線のケーブルがネジ止めされています。 ここに無理矢理ケーブルを繋ごうとしてショートさせると危険です。 |
通常はヒューズが飛ぶ程度で済みますが、最悪の場合交換機の損傷を引き起こす場合があります。
いずれにせよ、ヒューズをとばしたり交換機壊したら修理費は高くつきます。
3.通信法違反に問われる可能性がある
前述のようにモデムなどの通信機器には各国が定めた法律や規約があります。
日本国内しか認定されていないモデムを外国で使うとその国の法律違反に問われる可能性もあります。(ただ、実際に問われたという事例は見たことがありません(^^; )
自分のやることに責任が持てるなら、ザウルスを使って海外通信することは可能であると言えます。
その実現のためのノウハウを「国際アクセス救助隊」で公開していきます。