■電池切れたらタダの箱
パワザウユーザーの最大の恐怖がバッテリー切れです。
パワザウはACアダプタ又は内蔵バッテリ(リチウムイオン充電池)でしか使えず、バッテリ運用時に電力不足になるとお手上げです。
そのため、予備バッテリを持つ事になりますが、予備バッテリも使い切ったら...と考えると夜も眠れません(^^;
そこで何でも実験室ネタとしてパワザウ用乾電池アダプタを製作してみました。
なお、このアダプタはパワザウに対する安全性とかを一切考えずに製作しています。
マネしてパワザウ壊しても当方は一切関知しません。
■ACアダプタの構造
ACアダプタの構造の詳細に関しては何でも解剖図:パワザウ電源アダプタをご参照下さい。
パワザウACアダプタ このコネクタがパワザウに接続するケーブル部分に繋がります。
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パワザウの電源アダプタは3点出力なのですが、グラウンドと動作用電力供給、バッテリ充電用に分かれているようです。
テスタ等で測定すると以下のような状態にあることがわかりました。
ケーブルの色 | 状態(注:いずれもまるとの独自解析) |
黒:GND(グラウンド) | 共通グラウンド |
赤:動作用電力供給 | 常時8.6V供給 |
白:バッテリ充電用電力供給 | パワザウ本体に接続すると8.6V供給 |
■乾電池での電力供給を考える
上記の解析結果から動作電力供給用コネクタに8.6V程度を供給できればパワザウを動作させることができるようです。
ただし、ACアダプタの場合でも同じですが、パワザウ側のリチウムイオン充電池が完全に消耗していると動作用電源を供給してもパワザウの電源は入りません。
小型化を考慮し9Vの乾電池を使って電力供給のテストをしてみます。
9V乾電池(006P)はこれを使う機器が少なく、コンビニ等では販売されていない可能性もありますが、電池スナップだけ用意しておけば接続できる形状なので携帯に便利という面があります。(単3または単4乾電池を6本搭載できる電池ボックスを使っても良いのですが大きくて携帯時に邪魔になります)
サイズの比較 左:パワザウ充電池 |
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9V乾電池と電池スナップ 9V乾電池は電池スナップにより接続できるため電池ボックスが不要です。 |
■乾電池アダプタの構造を考える
乾電池の利用を考えた場合、ネックとなるのがパワザウ側の特殊な電源コネクタ形状です。
このような形状のコネクタは秋葉原でも発見することができません。
特殊な形状のコネクタ |
苦肉の策としてパワザウのACアダプタから出ているケーブルを途中で切断してそれを加工することにしました。
EA-56の改造 パワザウ用ACアダプタEA-56のケーブルを途中で切断してコネクタを付けました。 |
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中継コネクタ ACアダプタ−パワザウ間のケーブルは3芯のため、"ステレオプラグ"と呼ばれる3Pタイプのコネクタを利用しています。 |
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ジャック側の構造 センターに「赤(動作用)」、ミッドに「白(充電用)」、黒はアースに繋ぎます。 |
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プラグ側の構造 ジャック側と同じように配線します。 |
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パワザウ側アダプタ パワザウ側コネクタはACアダプタのものを利用しています。 |
で、このような形になりました。
乾電池アダプタ ステレオジャックに電池スナップを付けただけです。 このとき、配線するのは動作用電源側だけで、バッテリ充電側は配線しません。 センターに赤、アースに黒、ミッドは配線しません |
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乾電池アダプタ−ザウルス側コネクタ このように接続します。 |
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乾電池で動作させている状態 これで動くのです(^^; |
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乾電池を接続した状態 ACアダプタを接続した場合と同様に「AC接続中」が表示されます。 |
■果たして安全に運用できるのか
このアダプタを作成してから1週間ほど様々な条件下で運用していますが異常な発熱や機能に関する障害は発生していません。
当初はレギュレータを入れて厳密な電圧管理をすべきかと考えていましたが、無くても問題なさそうです。
電圧面での問題は無いと考えていますが、アダプタの抜き差しについては注意すべき点があります。
パワザウに繋いだ状態で中継コネクタを外すと3Pプラグの構造上、瞬間的に他の端子との間でショートするためパワザウ側の保護回路が働くようです。
中継コネクタ(赤丸部分) パワザウに接続しているときは絶対にここの抜き差しを行ってはいけません。 抜き差しの際に想定外の端子がショートするためパワザウ側の保護回路が働くようです。 |
実験中に何度かショートさせてしまいパワザウの電源が入らないという状態になりましたが(^^;、しばらくすると入るようになったので事なきを得ましたが、本来このような接続方法は想定外のため下手するとパワザウ本体を壊す可能性はあります。
パワザウ側コネクタで抜き差しするのが基本です。
■どのくらいの時間運用できるのか?
新品の電池(パナソニックアルカリ乾電池)を使ってテストしてみましたが、バックライト最小の状態にして内蔵モデムを使った通信を行って30分程度動作しました。
同様の条件で内蔵バッテリでも1時間程度(ただしバッテリは1年近く使ったもの)なので緊急時の電源としては使えそうです。
ただし、内蔵バッテリでの運用と違ってバッテリ残量チェックが行われないため、予告無しに突然電源が落ちます。
そのため、データ入力などの場合内部データが壊れる可能性が残ります。(実験中に電源をわざと落としたりしてみましたが、システムチェックなどをしてみても壊れたファイルはありませんでした)
■実用度
私の場合、初代パワザウの時は常にバッテリ切れの恐怖があり予備バッテリを2本携帯していましたが、パワザウ2はかなり消費電力が抑えられているため、予備1本で足りるようになりました。
最もバッテリを消費する使い方はデジカメを使った撮影時なのですが、バッテリ2本で1/4VGAサイズで100枚ぐらい撮影することができます。
これだけ撮れれば問題無しですが、それでも時々バッテリ切れになり困ることがあります。
また、パワザウで特に困るのがメモり整理でフォトメモリ画像をフラッシュメモリカードに移動した後でフォトメモリを全削除しても実際にはメモリ上にデータがのこるためメモリ整理をする必要があるのですが、この時バッテリ容量が少ないと整理することができず非常に困った事態になります。
この時に乾電池アダプタを接続することで整理できるようになります。
しかし、もし乾電池の電力不足で整理中に電源が落ちたら泣くに泣けない事態になりそうです。
こういう状況を考慮すると乾電池アダプタは「最後の手段」としての利用価値しか無いようです。
外出先でデータが見られない、メール受信ができないという困った状況を回避する場合にのみ活用できそうです。
◆少し役に立った(^^)V 98/09/30
World PC Expoの会場のNTTドコモブースでDoPaに関してあれこれ取材している時に電池不足で通信ができなくなりましたが、このアダプタのおかげで通信を継続することができました。
バッテリ交換もできたのですが、通信を切る必要があるのとザウルス内に登録データが多い場合には簡易リセット後の「お待ち下さい」状態が長いのでその間無駄な時間を過ごすことになりますが、乾電池アダプタで快適に継続できました。
■参考データ:状況別電流状況
9V乾電池を使った場合にどのくらい電流が流れるのかをチェックしました。
対象機器:パワーザウルス MI-610
基本状態:バックライト(中)の明るさ
動作状況 | 電流 |
インデックスメニュー バックライト最大 | 74mA |
インデックスメニュー バックライト中 | 70mA |
インデックスメニュー バックライト最小 | 63mA |
内蔵モデムでインターネット接続 | 94mA |
PHS(321S)でインターネット接続 | 85mA |
CE-PA1でインターネット接続 | 75mA |
デジカメで撮影(CE-AG03) | 99mA |
デジカメで撮影(CE-AG02) | 102mA |
フォトメモリの画像をカードへ複製 | 75mA |
メモリ整理 | 72mA |
ゲーム:上海 | 70mA |
画面切り替えなどに+5mA程電流が増加します。
この結果を見るとやはりデジカメを利用した際の消費電力が一番多いようです。