日経BP・日経モバイル連載時のゲラ

連載のきっかけ

日経モバイル連載のきっかけはザウルス関係のホームページを紹介する企画の中でざうまがWebを紹介したいという編集担当さんからのメールです。

そのメールに対して「記事を見る限りザウルスに関する知識不足だ、私が記事を書く」などと無茶な返事を書いたところ一度あって話をしたいという申し出があり、シャープ市ヶ谷ショールームで面会・即連載承諾となりました。

本音のざうまがとフィルター入りの日経モバイル

連載を始めたのは”あの”MI-P10からというのが何ともねぇ(^^;

MI-P10に関してはハードウェアのほうで紹介していますので多くは語りませんが、縦持ちザウルス初号機として出した割には縦型アプリの不足とか、横でも縦でも使いにくい操作性とか、野心的すぎたデザインとかでザウルスユーザーからの評判も悪く、店頭でも人気薄で売れてなかった様に思えます。 

後に、在庫処分としてクレードルやMP3プレーヤー付きで1万円ちょっとで投げ売りされていましたね〜、あはは。

そういったことを正直に記事にできないところが「日経」という冠を付けたお行儀の良い雑誌だったわけで、私としても困ったな〜 というのが正直なところだったり。


・赤入れしたゲラ(サムネイルをクリックすると大きな画像<1400x1900ドットぐらい>が表示されます)

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このゲラは画像の保存日付を見ると2001/02/01となっているので2001年3月24日発売の2001年4月号のものです。

この頃はMI-E1が大ヒットしており私もノリノリで原稿を書いていましたが、「日経」の冠にふさわしくない記述も結構多かったため、ゲラの段階でかなり原稿に手が入っています。

名古屋にいなららにして原稿書きをしていましたので、ゲラは東京の編集部からFAXにて送られてきました。

そのためかなり荒い画像となっています。(200dpiだもんね)

ゲラをスキャンしたものをメールに添付して送っていただけないだろうか?」と編集さんに打診してみたのですが、「そういう環境が編集部に無い」とか言われてしまいました。

同時期、他社ではスキャン画像とかPDFでの出力を送ってくれたのに...

仕方が無いのでパソコンFAXを使って受信したものをイメージエディタに読み込み、「赤」を入れてGIF画像として出力、それをアーカイブしてメールに添付の上、編集さんに送っていました。


記事ができるまで

毎月の記事ができるまでの流れはこんな感じです。

打ち合わせ

当月号が発売されてから1週間程度過ぎた頃に東京・平河町の某ビルにあった日経モバイル編集部にて編集担当さんと打ち合わせを行いました。(中華の鉄人・陳健一さんの四川飯店が近所にあった)

大まかな連載の流れは1機種の機能解説を6ヶ月で行うという予定になっており、基本的な使い方から始まりインターネット接続やメール送受信、アドレス帳やスケジュールの使い方、その他の機能の使いこなしなどとなっていました。

1号あたりの連載は4ページとなっていて画像(ザウルスの画面コピーや各種写真)で6割ぐらい誌面を埋め、その間にテキストを入れていくといった作業をしていました。

連載の流れに従いその号のテーマがきまると編集さんの手によりレイアウトシート上で大まかな画像の配置、大見出しや小見出しの内容の決定と配置が行われました。

これらの作業が終わるとそれらの間に配置するテキスト(原稿)の文字数が大まかに決まりました。

1行あたり15文字が200〜250行程度あるので3500文字ぐらいのテキスト量になりました。

ここからが原稿書きの始まりです。

画面コピーと原稿書き

MI-E1の場合は従来の機種と大きく変わった部分が多かったため画像を多用しての解説となり、画面コピー取得などの作業でヒーヒー言いながら原稿を書いていた覚えがあります。

誌面に載る画面コピーは選抜されたものなので、実際には1.5倍ぐらいの画面コピーを取っていました。

その画面コピーを作るためにダミーデータなどを作成しているので毎回の作業量は結構なものでした。 大体画面コピーを取り終わるまで正味2日はかかっていました。

画面コピーを取ったら編集さんに送り、編集さんの方で画像と文字割をしたうえでレイアウトを組み、それを初稿としてFAXで私に送り、それを元に文字数を計算し原稿のテキストを書いていました。

大抵の場合、必要とされる文字数の3割り増しぐらい原稿を書いてから不要な部分を削り文字数を指定数以内に納めるようにしていました。

校正

概ね完了したテキストを編集さんにメールで送り、編集さんの方で校正を行い、校正後のテキストが送り返され、それを再度チェックして初校は完了となり、レイアウトにテキストが流し込まれます。

レイアウトに流し込まれた結果が、先に示した画像です。

FAXで送られてくるので画像劣化が激しかったのですが、文字判別はできるので画像配置の間違いは無いかの確認やタイトル、本文などの字句チェック、文字送りなどの修正を行い、必要があれば文章の大幅変更なども行った上で著者校正が終了します。

赤入れの終わった画像はGIF化して編集さんに送り、再度編集さんの方で校正が行われ校了となります。

出版

校了は毎月5日頃だったかな? 終わるとあとは出版待ちです。

24日頃発売なので、その前日には著者献本として編集部から日経モバイルが1冊送られてきました。

連載中は買わなくて良かったのでラッキー(^^)/


連載打ち切りの顛末

ざうまがを読んでいた人は知っていると思うけど、日経モバイルの連載は突如打ちきりとなりました(T T)

これはざうまがで新型CLIEの情報をすっぱ抜いたところ、Sonyの広報あたりから編集部にクレームが入り、編集さんから「非常にまずいことになりました」とか言われて即時連載終了〜ってことになりました。

ちょうど誌面刷新で新しいコーナーの連載が始まったばかりなのに1回連載しただけで終わってます。

まあ、各種メディアに多大な広告をご出稿くださる天下のSony様には逆らっちゃいかんということなのでしょう。

このときからざうまがWebの.htaccessにSONY.Co.jpを弾く設定が加わったのは言うまでもありません(:P

連載の打ち切りはざうまがのスタンスにも微妙に影響を与えています。

ざうまがというのはザウルス情報を扱う一方で、CLIEなどのPalm陣営のマシンやCE,Pocket PCなども適度に紹介していましたが、Sonyの仕打ちを見てザウルス以外のネタを扱う面倒くささを感じる様になってました。

ザウルスの方もMI-E21が発売されたのですが、これに採用されたのがナンシーとかいう動画規格でMI-E1のMPEG-4とは違ったモノとなり互換性を大きく損ねました。

シャープさんは時々ユーザーの利便性を無視して互換性の無いものをザウルスに乗せてくるのですが、ナンシーの場合はザウルスユーザーの利便性のためというよりは、携帯電話におけるナンシーの採用を後押しする形での搭載のように感じ、「携帯電話ユーザーのモルモットじゃネーヨ」という反発など感じたものです。

その後の流れを見れば、ナンシーなどというマイナーな規格はパソコンやPDA上では主流に成り得ず、ムービー写メールで使われる程度のものです。

世の中を見回してみれば、MPEG4動画作成ツールや再生ソフト、携帯動画プレーヤーなどが花盛りでMI-E1の先見性が評価されるところですが、MI-E21での方向転換がザウルスで動画を見ることに対しての障害になっていたような気がしてなりません。

その後のMI-E25DCにはデジカメが内蔵されたのですが、あのカメラ位置なんかを見るとシャープさんはザウルスを携帯電話の

まあ、MI-E1でのMPEG4にしても音声コーデックがシャープ独自のものでPC上で独自エンコードするのも結構な苦労を伴っていたわけですが。(その頃は私自身動画作成に関する知識不足でツールとかを適切に選べなかったということもありますが)

なんだかんだで、連載打ち切りが私の中のPDA熱を冷ましたという感じですかねぇ。

ざうまがの連載やざうまがWebの維持管理、ザウルス情報収集なども意欲的に行わなくなってしまいました。

連載打ち切り後は日経モバイルが送られてくることも無くなり、私も買うことをしなかったのですが、ふと気付いたら日経モバイルが廃刊(季刊になったのかな?)となっていました。 

連載打ち切り時に、廃刊になっちゃえとか呪ったのがいけなかったかな(^^;

実際のところ、時代は携帯電話全盛でマニアックなPDAを苦労して使いこなそうという人が減ったということだったのでしょう。