■機動取材システム

今回のビジネスショウ取材はパワーザウルスだけを使った機動取材システムの試験運用を兼ねています。

リアルタイムなホームページ更新はノートPC等を利用すれば実現可能な事はわかりきっていますが、パワザウだけを使ってリアルタイムにホームページを更新することができれば超軽量、コンパクトな速報システムとして今後の取材に活かせそうです。

->機動取材システムによるビジネスショウ速報の成果


■システム機材

mobile_press.jpg (13644 バイト)

システム運用に必要な最低限の構成です。(約700g)

この他に予備バッテリ1本、デジカメ専用機CL-820を使いました。

スマートメディア<2MB>は画像の保存用ですが、今夏の取材では画像部分は全て本体メモリ無いに収まりました。(取材時にはアドレス帳やスケジュールを最低限のものだけ残してメモりを空けています)

デジカメがCE-AG03になっていますが、私のCE-AG03はピンぼけしまくりで使い物にならないため通常はCE-AG02を組み合わせて使っています。(CE-AG02は解像度や色再現に問題があるのですが、ピントがきちんと合うので愛用しています)

運用前はバッテリの消耗が激しいだろうと思って予備バッテリ2本に充電器まで持っていったのですが、デジカメを使った約70枚の撮影<1/4VGAサイズ>と約2時間のデータ入力、1時間の321S経由のPIAFS通信、45分間のISDN公衆電話による通信をほぼ1本のバッテリでまかなうことができました。(最後のISDN公衆電話通信前にバッテリ交換)


■利用したソフト

今回の機動取材システムが実現できたのもMOREソフト開発者向けに提供された各種サンプルMOREソフトに依るところが大です。

特にFTPソフトが公開されたことでシステム運用のホームページ更新の目処がたました。

moreftp2.gif (4870 バイト) MORE FTPの基本画面

左側に内部ファイル(drvで内部ドライブとメモリカードの切り替え可能)リスト、右側がFTPサーバ上のファイルリストになります。

この画面でプロバイダに対するPPP接続及びFTPサーバへのログインを行います。

通信経路として、内蔵モデム、外部、カードの3種類がありますが、残念ながら今回はカードを使った通信ができず、321Sの通信ではFTPができませんでした。(FTPのみISDN公衆電話利用)

moreftp.gif (7055 バイト) FTPサーバに接続した状態

ディレクトリ及びファイル一覧が表示されます。

ref refresh ファイルリストの取得
chd change directory ディレクトリの切り替え
mkd make directory ディレクトリの作成
ren ren rename ファイル名の変更
dnl dnl download ファイルのダウンロード
moer_editor.gif (6573 バイト) テキストエディタ

若干の制限があるもののHTMLを編集するために利用することができました。

エディタ代わりにインクワープロを使っても良いのですが、インクワープロに読み込むためにファイル名を*.DOCに変換する必要があるなど煩雑な操作が必要となるためテキストエディタの存在は作業効率を上げるために役立ちました。


■ホームページ側の工夫

機動取材システムによるホームページ更新を実現する方法としてパワザウ側でHTML文書を作りハイパーリンクまで行ったものをFTPでアップロードするという方法もありますが、この場合記述しなければならない要素が「タイトル」「本文」「ハイパーリンク」とHTMLタグになり、HTMLエディタを使わないとミスが発生しやすい状況となります。

そのため、今回の試験運用ではHP上でcgiを使った会議室システムを稼働させています。

このシステムはHP上のフォームに対して入力することで即座に「発言」としてHP上に掲載され、ここで画像URLを入力すればその画像が表示されることになります。

この方法であれば、パワザウで会議室のURLにアクセスし、フォームに対して入力を行えばHP作成のためのHTML文書作成負担がなくなります。

また、この会議室システムは発言中にHTMLタグを埋め込むことができるため、画像以外にも情報のURLリンクを作ることができます。

ただし、パワザウのフォーム入力の制限からテキストボックスに対して全角で128文字までの入力しかできないため長文の解説を行う場合には一旦発言として登録した後にその発言のURLを調べFTPを使ってパワザウにダウンロードしてエディタで編集、再度アップロードという手順が必要となります。(後半はこの方法も面倒になってきたのでコメントチェーンとして補足記事を発言するという方法をとりました)


●会議室システムの入力フォーム例

お名前
(ハンドル名でも可)
E-mailアドレス
(任意)
タイトル
言いたいこと
■ご発言に際しては

 メーカー名や製品名、URLなどもわかる範囲でご記入願います。

 デジカメで撮った画像リンクができる方はそちらもお願いいたします。

 パワザウの場合は全角で120文字程度しか入力できません。

関連情報リンクの
URL
(任意)
関連情報リンクの
題名
(任意)
関連画像の
URL
(任意)

■取材からアップロードまで

取材 デジカメによる撮影と、取材対象のスペックの確認をします。
取材メモはメモ用紙に手書きです(^^; この部分はパワザウだけでリアルタイムに手書きする訳にはいきません。
素材作成
(画像)
フォトメモリ上の画像をPCデータとして送出し、JPEG形式の画像を得ます。 
この時ファイル名が"852014AA.JPG"のようなファイル名になります。 当初はFTPのファイル名変更機能を使って画像の意味が分かるファイル名"busizau.jpg"などとしていましたが、作業的に面倒なので画像とファイル名対等を表にして会議室への書き込みの際にそのファイル名をURLに記述するように変更しました。
素材作成
(解説記事)
解説記事部分はインクワープロを使って作成しますが、手書き認識は利用せず携帯キーボードを使った入力としました。
この携帯キーボードの使い心地は快適とは言えず、入力に相当な労力を必要としました。
パワザウのフォーム入力の制限から120文字程度にまとめる必要があるのも面倒な点です。
画像のアップロード FTPそのものはファイル指定してアップロードなので簡単にできます。
ただし、今回利用したFTPソフトはあくまでも「サンプル」なため細かなファイル指定ができず、大量のファイルの中から*.JPGを探しだし1ファイルづつ転送する必要があり、総転送時間が結構かかりました。
HPから記事入力 画像のアップロードが完了したら会議室システムで記事部分を入力します。
文章はインクワープロ参照を使い簡単に入力できましたが、画像URL部分を間違えることが多く、最初の頃はリンク切れが目立つ物となりました。
この場合は、発言のコメントとして正しい画像をリンクすることで対策しました。
記事補足 パワザウにおけるフォームの文字数制限から会議室システムを利用した場合、長文の解説が書けません。
そのため、前述のFTPでHTMLをダウンロード、エディタで編集、アップロードという方法をとりました。

■機動取材システムを利用してみて

このシステムを思いついたのはビジネスショウ開催の直前で、準備期間がほとんど無い状態で本番に臨んでいます。

当初は目に付く物を片っ端から速報しようと考えていたのですが、想定以上の作業負荷となり思うようなHP更新ができませんでした。

理想としては取材したブースから直接HP更新を行うというもので、これを実現するために当面試行錯誤が続きそうです。


■システムの改善

今回の機動取材システムは専用のソフトを組まずに、パワザウの基本機能+サンプルとして配布されたMOREソフトを利用しています。

そのため、各機能を一貫して自動処理するような仕組みは全くなく、大部分を手作業で行っています。

特に画像の変換とアップロード部分の負担が大きく、またURLを間違えて画像が表示できないという問題も生じています。

今後の取材における機動力を高めるためトータルシステムの構築が必要となります。

●記事の作成

このあたりを補完するために専用の記事エディタを作成し、HTML文書をパワザウ上で生成してしまうという方法と、パーソナルデータベースを利用してそのデータをHTML文書化するという方法を考えています。

前者の場合は専用システムとして高速/軽量化できますが、画像選択、エディタの作成、HTML化などの技術的要素の多さに難点があります。

後者の場合は内部ファイルからHTMLに変換するというコンバータ部分だけの記述で済むため比較的簡単に実現できそうです。

●FTPの自動化

FTPするファイルの選択やアップロード先の指定を手作業で行うと転送漏れや転送先のミスなどが発生しやすいため、最低限アップロードの自動化が必要となります。

概念的には転送ファイル名と転送先をバッチファイルとして記述しておきFTP側でそれを解釈しながらアップロードするという方法が考えられます。

●会議室システムの改善

現在利用している会議室システムは明示的に発言を行わないとHP上に掲示されません。

そのため、FTPでファイル一式を転送してもHPで公開することができません。

目次のページのHTML文書をパワザウ上に保管しておきリンクを編集後アップロードするという方法もあるのですが、できる限り自動化を図るためにcgiを使った自動インデックス更新を会議室システムに組み込みアップロードが完了したらそのcgiを機動させ「目次」の更新を行うような仕組みが必要となりそうです。

●デジカメの問題

もう一つネックになったのがパワザウ専用デジカメCE-AG03の出来の悪さです。

ピントが思うように合わないし撮影した画像は暗いしと、どうしてもメインに使うことができません。

VGAクラスなりの画像を撮影できさえすればCE-AG02やデジカメ専用機を持ち込む必要も無く、真の機動取材システムが実現できると思うのですが...メガピクセルとかのデジカメは必要ないからVGAサイズをきちんと撮影できるカメラモジュールをメーカーに期待したいと思います。

また、フラッシュメモリ上の\__ZAURUS以外のフォルダを参照する機能が搭載されればデジカメ専用機の画像を直接取り込むことができるので、MOREソフトの Zaurus PC Exchangeの改良にも期待したいと思います。


■機動取材ステムの使い道

個人的な利用方法としては結婚式の状況をリアルタイムにHPで公開する、子供が産まれたら病院からすぐHPで公開する、イベントなどの情報を撮影して公開するなどが考えられます。

こういう情報はメールでの配信も可能ですが、自分の思いついた時点でどこからでも誰でも見ることのできるHPに公開できるのは魅力的でしょう。

あまり流行らなかった「放課後倶楽部」(プリクラのHP版)のようなことも実現できます。

通信経路という点で疑問がありますが、フランスワールドカップで日本の試合中に撮影即HP公開という離れ技も実現できそうです。(コストさえ無視すればKDDのインマルサット衛星電話で対応できるか(^^?)

もう一つの応用として、MOREソフトでデジカメのインターバル撮影を行い記録した画像をFTP転送することでリモートカメラ的なこともできそうです。

また、「ザウルスオンリー」ユーザーにとっても自分のホームページが作れるというのは魅力的ではないでしょうか?

ジオシティーズを使えば制限はあるものの文字だけのHPは作れますが、画像込みとなるとこれまで実現する方法はありませんでした。

パーソナルデータベースを利用したホームページシステムが実現できればパワザウ(ザウボケ)だけで自分のHPを運営できるようになるかもしれません。