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■赤外線公衆電話とは?

IrDAインタフェースを持つパソコンやPDAとの間で光通信を行いターミナルアダプタとして動作する電話機で 「赤外線インタフェース付きISDN公衆電話」が正式名称です。

基本的な仕組みとしては、PCやPDA側でIrCOMM(マイクロソフト赤外線通信ドライバなど)を利用した仮想シリアルポート構成し、赤外線公衆電話のインタフェースとの間でシリアル通信を行います。

モデムやTAに該当する部分は公衆電話機側に搭載されています。

この方法を採るとWin95の場合は"モデム"の選択部分が変わるだけでダイアルアップ等、通常のモデムやTAに対する場合と同様のプログラムが利用できます。

PDA側としては消費電力の大きいモデムが不要となるため長時間運用(通信)が可能となる他、モデムユニット(カード)が不要になることでの小型化が実現できます。

なお、赤外線通信を使って接続できるアクセスポイントはISDN(またはPIAFS)対応のアクセスポイントだけとなります。

アナログのアクセスポイントが利用できない(現段階)点に注意が必要です。(PIAFSで言うところのPTE<プロトコル変換装置>などの仕組みが用意される可能性はあります)


■ザウルスシリーズにおける対応

今回のビジネスショウでは赤外線公衆電話とパワーザウルス2(MI-610)間の通信デモが行われていましたが、これはMOREソフトにより「内蔵モデム(ケーブル接続)」と「光通信」を切り替えることにより実現しています。

多分ビジネスザウルス(BI-300系)でもこの方法で実現できると考えますが、MI-500/100系では何らかの事情により実現できないようです。(このあたりは「実現できない」のか「バージョンアップなどで実現できる」のかは不明です) 

irtel_pz3.jpg (11889 バイト) 赤外線インタフェース付き公衆電話

赤外線インタフェースはテレホンカード投入口の右側と本体下部にあります。

irtel_pz2.jpg (8952 バイト) パワザウとの通信

パワザウ等との通信を行う場合は本体下部のインタフェースを利用します。

irtel_moer.jpg (8988 バイト) 対応MOREソフト

画面が見にくいのですが、通信画面で「使用モデム」の中にある「内蔵モデム」を「ケーブル接続」と「光通信」に切り替えて利用します。

将来的にはモデムとして「光通信」という項目が登場するかもしれません。

■通信速度

この方式を使った通信速度はパワザウ2-公衆電話間がIrDA1.0(115Kbps)、公衆電話-アクセスポイント間がISDNの1B分の64Kbpsです。

実際に通信してみるとWWWブラウザの表示速度などから体感的にはパワザウ内蔵の33.6Kbpsモデムと変わらないようです。(大容量MOREソフトなどのダウンロードの際には違いが見られるかもしれません)


■もう一つの赤外線公衆電話 ComBase

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ComBaseはマルチメディア公衆電話というコンセプトで開発されたISDNピンク電話機です。

この電話機にはICカードスロットが用意されており、プロバイダの情報、メールID/PASSWRDを記録した専用ICカードを利用することで電話機単体でのメール受信を可能にしています。

メール送信(返信)機能としてはこの電話機単体での文字入力を行うことは基本的に考えていないようで、ICカードに記録された送信先かメールに対する返信として受話器を使った「音声」録音を行い、そのデータをメールの添付データとして送信するという方法を採るようです。

また、IrTran-Pによる画像受信機能を持ちデジタルカメラやパワザウなどから画像を取り込んでメールに添付することもできます。

現在の段階では純粋なIrTran-Pフォーマットではなく電話番号や送信先を含んだフォーマットによる通信が必要になるようで、パワザウの場合はMOREソフトを利用した画像転送が必要になりそうです。

ComBaseにも赤外線公衆電話としての機能があり、パワーザウルス2+MOREソフトによる通信が可能になっています。


■赤外線インターフェース付き公衆電話の普及は?

赤外線公衆電話やComBaseは現在東京地区でテスト運用中ですが、実際に普及するかは疑問です。

現在のISDN公衆電話で通信する場合でも「データ通信」を理解していない人から見れば受話器も取らないため、何もしないのに電話機を占有している人と思われている部分もあり(実際に私も通信していて怒られたことがある)、またデータ通信中は音声通話に比べどうしても占有時間が長くなり混雑している場所では通信しづらいという状況です。

現在はそれでもアナログポートにケーブルを接続しているため、「通信してます」と言えばある程度理解してもらえますが、赤外線通信ともなると何をしているかわかってもらうのも大変そうです。

高速通信できる携帯電話が今後更に普及しそうな気配であることから赤外線公衆電話を積極的に配置するというよりは現在の緑色の公衆電話の置き換えやISDN公衆電話の置き換えで徐々に普及していくものと思われます。

赤外線を使ってケーブルレスで電話線に接続するというコンセプトを活かしてビジネスホン等に組み込んでオフィス内で利用するなどのほうが現実的かもしれません。(ビジネスホンの回線を使って通信しようとするとインラインカプラなどの機器が必要となります)

また、IrDAは赤外線リモコンと共通部分が多いため、トーンダイヤラーに変わる「赤外線ダイヤラー」という商品も面白いかもしれません。 


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■IrMC(Specifications for Ir Mobile Communications)

IrDAの定めたモバイルコミュニケーションのための赤外線通信規格です。

IrMC対応携帯電話側(通常の電話機側含む)にモデムが内蔵されていればパワザウ等の赤外線通信を使ってそれを制御しプロバイダへの接続が可能になります。

また携帯電話上の電話番号や住所録を赤外線通信で転送することができます。

MS赤外線通信ドライバが仮想シリアルポートまでをサポートし、さらにその上の仮想モデムをサポートしているのがIrMCです。


ケーブルレス通信が実現できるのでメリットはあると思うのですが、赤外線通信の特性上パワザウと携帯電話間は赤外線通信ポート対向させる必要があり、ケーブル接続のように歩きながら通信するといった技が使いにくいような気がします。