ザウルスパワーコネクションにはパワザウのデータをバックアップ/リストアする機能があります。
購入初期の段階で通信方式別バックアップ&リストア速度計測などを行いバックアップ/レストアの安定性なども追求した結果、機能的な問題は無いと判断していたのですが、8月病の存在がその信頼を根底から覆しました。
メモリ使用量も6割を超え速度比較も兼ねてザウルスパワーコネクションとPowerPIMMに搭載されているバックアップをケーブルと光通信(IrDA)の両方で行い、リストアも同様に速度計測を行おうとした時に悲劇が起こりました。
レストアを開始してしばらくは順調ですが、このエラーとともに、蓄積したデータが全滅となってしまいました。
リストアを行う場合は以下の警告が表示され、実際にパワーザウルス内のデータは一旦全部消去され、まっさらの状態になります。
このためリストアが正常に完了しない場合はその状態のまま何のデータも登録されていない状態になります。
最初のレストアはケーブルで保存したデータを対象に行ったため、何らかの通信エラーだろうと考え数回試みても結果は同じ、IrDAで試しても全く同じ結果でエラーによりリストアできません。
今回はザウルスパワーコネクション以外にPowerPIMMでもバックアップしていたので気を取り直してこちらのデータをリストアしたのですが、こちらも同じようにエラーが出て八方ふさがり状態になってしまいました。
「私の夏休みを返せ!」 と叫んでも後の祭り、呆然と空になったパワーザウルスを眺めながら「やっぱり致命的なバグがあったか」と虚しさの後に怒りがこみ上げてきたものです。
■原因究明編
「転ばぬ先の杖」という格言の通り、普段利用しているバックアップメディアであるTDKのスマートメディア(4MB)にデータを保存しておけば良かったのですが、この時はザウルスパワーコネクションの通信を過信しスマートメディア側にはバックアップしていませんでした。
よって、何とかしてリストアしないと十数時間分の労力を投入して環境整備した結果が無に帰す結果となります。
ちょっと秋葉原に旅に出てリフレッシュした後、原因究明作業に取りかかりました。
●通信エラーはどこで発生するか?
何度かリストアを試みているとエラーが発生する場所が同じ位置であることが分かるようになりました。
当初はWWWPAGE.BOXという部分で必ずエラーが発生していたので、このデータの特異性があるのかとスマートメディア上に残っていたデータを解析した結果、このデータはインターネットライブラリのデータファイルであることが分かりました。
そういえばバックアップする前にザウルスパワーコネクション経由でインターネットライブラリにHTML文書を転送したなと思い出し、そのデータに起因するのかを確認するために初期化状態となったパワザウに再度HTML文書を転送してみました。
そして、バックアップ&リストアを試みると「アンラッキーなビンゴ!」です。
バックアップはできるもののリストアできません。
よって、インターネットライブラリに問題があるのだと判断しインターネットライブラリに他のデータを転送してみました。
結果は同様にエラーとなります。
ところが、インターネットに接続して収集したライブラリデータだけの時はバックアップ&リストアは正常にできます。
HTML文書をザウルスパワーコネクション経由で転送する限りこの問題は再現します。
当初はパワーザウルス側で想定しているPowerPoint 97で作ったデータでは無いための問題かと思いましたが、こちらもPP97で作って転送しても同じ現象となります。
別のソフトであるPowerPIMMでも同様のリストア障害であることから、この問題はWWWPAGE.BOX固有の問題であり、パワーザウルス側のバグじゃないかと考えバグサマリーの大家「L.Force」さんに「こんなバグ出てますか?」と聞いたところ再現性ありの情報とともに、原因についての考察をいただきました。
インターネットライブラリに限らずワープロ/表計算/フォトメモリ等々、パワーザウルスを代表する機能にザウルスパワーコネクションを経由してファイル転送する場合に8月に入って以降リンク日付がおかしくなるという「8月病」についてはこのバグ特集でも言及していますが、このデータをバックアップした場合バックアップデータ上でのリンク日付は以下のようになっています。
> "D"," ",,,,,,"19970011143758","パワザウQ
このデータをパワーザウルスに転送するとパワーザウルス内でリンク日付更新を行う処理の際にエラーとなることが推測されます。
こういうデータは「8月病」関連の全てのデータで同様に生成されるため、これらのデータを記憶しているパワーザウルス全てに共通した障害となります。
「8月病」を甘く考えていたらとんでもないことになってしまった! と後悔する事しきりでした。
■さて、どうする(解決編)
ちょっとほっとしたのは、リストア障害がパワーザウルス側の要因ではなくザウルスパワーコネクションのバグを起因とするもので、バックアップデータの整合性そのものは取れていると予測された点です。
●97/08/30補足
当初ザウルスパワーコネクションのバグだと思われたこの問題ですが、シャープ(株)よりパワーザウルスアップデートプログラムのお知らせが公開されリンク日付の問題が修正項目に上がっていました。
よってこの問題はパワーザウルス内部の問題ということになりそうです。
バックアップデータは比較的単純な構造を持ち、リンク日付に関してはそのままの形式で("19970011143758")保存されています。
一縷の望みを託してバックアップデータの該当個所を書き換えるプログラム(通称バックアップデータクリーナーD)を製作し実行した結果、無事にリストアが完了しました。
この間、バックアップ&レストアを繰り返した時間が6時間ぐらい、プログラム作成に8時間ぐらいかかっていますから結構無駄な労力を費やしています。
この件はシャープ(株)のザウルスホットラインに聞こうと思ったのですが、お盆休みなのか何度電話しても繋がらない状況でした。(一応公式にはお盆休み期間中らしかったのですが)
■バックアップデータを操作する場合の注意
なお、バックアップデータはエディタで開くとテキストデータのように編集できますが、実際はバイナリデータ(通常のテキスト文字コード範囲外)が含まれておりテキストデータしか編集対象としないエディタで保存するとバイナリ部分が欠落します。
データが欠落すると完全にレストアできなくなりますのでご注意を。
なおバイナリエディタ等の機能を持つエディタなら日付部分の修正で対応できる場合もありますが、この場合もオリジナルデータは保存しておきコピーしたデータを対象に編集するようにして下さい。
■教訓
「転ばぬ先の杖」の格言通りバックアップは二重三重の経路で行うべし。
バックアップやレストアはスマートメディアで行うことを最優先することとしました。