■バグとは
それは「仕様です」という言葉に代表されるようにメーカーはプログラム等に問題がある場合「バグ」という表現を極力使わないようにしています。(特にMS-KKが有名)
バグを出すことは製作者にとって「不名誉」なことであり、メーカーにとっては製品に瑕疵があったということを認めるようなもので、明らかにバグでも「不具合」という言葉を使ったり「仕様」、「個別環境」、「個体差」などの表現で問題を曖昧にする傾向が顕著です。
メーカーからすると「バグ」という表現にした場合は無償修理は当然として使用許諾条件にバグに関する条項がある場合でも自社責任を認めたことになるためユーザーから厳しい追及を受けることになりサポート等で支障がでるため(サポートコストもかかります)「バグ」と認めることは無いのでしょう。
私が動作上の問題点を分類するとき自分自身の環境で「必ず発生する」もので「メーカーから告知が無いもの」は「バグ」または「欠陥」としています。
「特定環境で発生することをメーカーが公表しているもの」、「発生しても回避方法をメーカーが公表しているもの」に関しては「バグ」とするのはちょっと可哀想なので「改善可能な仕様上の問題」としています。
パワーザウルスのような複雑なシステムは潜在的なバグがあってもおかしくないのでバグの発生は防ぎきれないと思いますが、それをいち早くユーザーに告知し改善策を提示するのがメーカーの役割だと考えています。
私を含めてインターネットやNIFTYのFZAURUS/FPDAJ等で情報が収集できる場合は「なんとなくバグ?」と認識できますが、何も知らずにバグに悩まされるユーザーのほうが遙かに多いことをメーカーとして認識してもらいたいものです。
■ザウルスシリーズにおけるバグの歴史
主なものをまとめてあります->こちら
■バグに対するシャープの対応
私がアクティブにザウルスに関するバグ問題に取り組んだのはMI-506の頃からです。
当時NIFTY SERVEのザウルスフォーラム(FZAURUS)でパワーザウルス専門の会議室担当(ボードオペ)をしておりユーザーから上がってくる諸問題の対応に当たっていました。
その中で複数ユーザーで共通して発生している問題が散見されるようになります。
私自身ユーザーですから、使っていて「おかしい」と思う動作や明らかな「バグ」に気づきます。
それらは状況をまとめてFZAURUSのシスオペに随時伝えており、そこからシャープのザウルス担当に伝わり改善されるものと信じていました。
しかし、結果的にシスオペを通じて回答があったのは全体の1割にも満たない状況です。
当時はオフィシャルな立場でFZAURUSに関わっていたため「明らかなバグであってもバグという表現は使わないでほしい」、「バグとわかっても改善方法の提示程度に留めてほしい」など制限事項があり、ユーザーの立場からすればバグでも「FZAURUSのまると」として発言する場合は「不具合、良くわからない問題」とせざるを得ない状態でした。
典型的な事例が「手書き文字登録してもその結果が反映しない」というバグでしょう。
この問題はMI-506発売直後から話題になっており複数ユーザーが問題を指摘したにも関わらず当初シャープからの回答(ザウルスホットラインも含めて)は「個体差によるもの」という曖昧な表現でバグの存在を認めませんでした。
そのため会議室上では「個別の環境によるもので出たり出なかったりする」という表現になっていました。
結果的にこれは全ての環境で発生する可能性のあるバグとして認識され、はその後のアップデータで改善され発生しなくなりました。
また、これは極めてバグに近いのですが、回避方法があるためバグには分類しないものとしてMI-506においてWWWブラウザ側のインターネット接続設定でIDに16文字以上入力しても16文字しか反映されないという変な仕様があり、メール側のインターネット接続設定で回避できるという方法があったものの、ザウルスプラザ上のQ&Aでこの方法を掲示するまでかなり長い期間を要しています。(この16文字制限は海外でインターネット接続のローミングサービスを行うユーザーが一時期相当悩まされた問題です。MI-610では改善されています。)
この方法は早くからザウルスホットラインではユーザーに提示していましたが、ユーザーのためになる情報でもそれが「バグ」に近いものと思われる物は「ユーザーが言って来ない限り対応(公開)しない」という姿勢が見て取れます。
■二度あることは...
MI-506の初期バグと同全く同様のことがパワーザウルス2(MI-610)の手書き認識不良問題でも繰り返されており、ザウルスホットラインの回答や販売店の店頭では、あるユーザーにはタッチパネル交換で対応し、あるユーザーには店頭交換対応をしたりと共通に発生しうるバグなのか?個別環境なのか?ハッキリした状況がわからずユーザー側は大混乱でした。
このバグもも当初は個体差による問題とされており個別対応がなされ、ユーザーに対して正式にコメントが出されたのは発売から2ヶ月も経ってからでした。(手書き問題そのものは発売後2週間ぐらいでユーザーからおかしいという発言が出ています)このバグ対応に関しても発表されたのがビジネスショウの直前であり、もしビジネスショウがなければ後回しになったのではないかと考えています。(ザウルウポケットのバグ対策もWindows World Expo直前に公開されているのは単なる偶然なのでしょうか?)
■ここが問題なのでは?
バグを認めないというのはシャープに限ったことではありませんが、ザウルス関連のバグ対策は発生初期段階で誤った対応をすること、対応がいつも遅れ気味になること、「バグ」レポートを出しても誠実な回答が得られない(少なくともアップデータで改善できたものは教えてほしい)ことなどユーザーを軽視しているとしか思えません。
ユーザーとしては自分の機種で問題が発生している場合にはその対処を考えなければなりません。
この時交換するなら全データをバックアップする、修理なら修理期間中にアドレス帳やスケジュールを管理するための代用手段を考えなければならない、ソフトのアップデートで済むならそれを待つ方が得策との思惑が働きます。
その情報源となる店頭での対応、ザウルスホットラインの対応、NIFTY SERVEで報告される対応方法がバラバラでどれがベストの方法なのかは判別が付かない状況でした。私の場合はザウルスで全てのPIM系データを管理しているわけではないため代替手段を利用しながら状況待ちという体勢をとっていましたが、ザウルスを中心にしている方の場合は交換にしろバックアップやリストア作業をしなければならず、また、販売店や修理拠点への持ち込みなどの経費的/時間的損出が生じます。
今回のバグは結局ソフトアップデートで直るため、誤った情報提供による交換や修理を行った場合のこれらは本当に無駄な経費/時間となったわけです。バグ及び不具合に対する対応の曖昧さの傾向はパワーザウルスになってから顕著です。
これは、インターネット時代になって動作上の問題情報やシャープの対応状況がユーザー間で交換しやすくなり「バグ」の認知が速くなったのも一因だと考えています。
以前ならバグらしき問題に関してザウルスホットラインなどでは認識していても現象に気づいて報告したユーザーが黙っていればバグ扱いせず、「個別環境」や「個体差」として処理しておいて「個別対応で修正」、「改善ソフトの名目で修正」で逃げ切れたものが「バグ」とせざるを得なくなってきているためだとも言えます。
インターネット時代の現在、何らかの問題があればニューズグループのfj.sys.zaurusだけでなくユーザーが自前で設けているHPや各種掲示板などで指摘しますから。(私も真っ先に指摘してます(^^; )
バグが出るのは仕方がないと考えていますので、少なくとも問題を認識した時点で問題点を認識しているというコメントや回避方法、対応の状況などを告知してほしいと考えます。
なお、シャープが「バグ」に類する問題と認識した場合はユーザー登録ハガキを送ったユーザーに改善方法に関する郵便物が来るようです。
ザウルスプラザやFZAURUSに掲示されるだけの場合は「バグ」ではなく「仕様上の問題」や「個体差」とされ、「機能改善(改良)」という名目で修正が行われるようです。
・バグはまマシ?
パワザウのデジカメCE-AG03はMI-506の発売直後から「ピントが合わない」「暗い/階調表現がおかしい」「接写時のひずみが多すぎる」などデジカメとしての機能に不満が続出しています。
機能的には35万画素、VGA、光学2倍Xデジタル2倍で発売当時としては野心的なものでしたが、基本となるピントと画質が「カメラ」としての基本線を下回るため「使えない」デジカメと烙印を押されることになります。
パワザウ本体にも改善されないバグ(仕様)は多いのですが、パッチMOREソフトで改善される可能性もわずかながら残されますが、デジカメのハード自体は買い換えるしかないため「バグのほうがマシ」といえるかもしれません。
ただ、MI-506とMI-610で同じCE-AG03を使った画像を比べると若干MI-610の方がピン後がシャープになったように見えます。 これは、画像処理でシャープネスフィルタ処理をしていることとJPEG圧縮比を変えているためだと推測され、ピントが正しくなったわけではありません。
PI8000では蓋の付け根部分の筐体強度が弱すぎて折れる、ヒビが入るという問題があります。
PI6000のも筐体の液晶パネル保持機構に問題があるらしくとコネクタの接触が悪くなり液晶に筋が入るという問題が出てます。(こちらもシャープは公表していませんが、無償修理対象となっています)
・バグとは言わないが
これは仕様とされバグとはしませんが、PHSによるデータ通信(PIAFS)の開始に合わせてNIFTY SERVEがPIAFS専用アクセスポイントを設けました。
このアクセスポイントはROAD 7接続手順を必要とするためROAD 2接続手順しか持たない標準のカラーザウルス(MI-10)ではPIAFS悪閲すポイントを利用することができません。
そこで、シャープによるカラーザウルス(MI-10)のPIAFS対応アップデートサービス(有償:2500円)が実施されたのですが、NIFTY SERVE経由のメール送受信がPIAFSではできないという仕様でした。
ユーザーなめとる! 当時からそう思っています。
最近になって、NIFTY SERVEのROAD 7廃止に伴う対応としてPI-8000とMI-10に対するアップデートサービスが公表されましたが、MI-10の内容を見るとPIAFS対応と全く同じ内容でしたが、言い訳としてアップデートに必要なメモリ領域が足りないためというものが追加されていました。
■声をあげることのできないユーザーも多い
特に問題視したいのは先に示したパワザウ2の手書き認識バグの場合、初めてザウルスに触ったユーザーにはなかなかわかりにくい現象です。
バグが発症してもバグなのか手書き認識の性質なのか判別できず、「ザウルスの手書き認識は大したこと無い、使いものにならない」と思いこませてしまいます。
そのため、ベテランザウルスユーザーが「絶対におかしい」と声をあげなかったら対策はもっと後回しになっていた可能性があります。
おかしな動作に直面したときにそれが「使い方の問題」なのか「仕様上の問題」なのか「バグ」なのは相当経験を積んだユーザーでないとなかなか判別できません。
それを支えるのがNIFTY SERVEのFZAURUSであり、ザウルスプラザのザウルス掲示版だと思うのですが、こちらはメーカー主導で運営されており不都合な情報は隠す傾向にあります。
FZAURUSは自由に発言できるのでユーザーの声を握りつぶすことはしませんが、シャープの回答責任があるわけでもないのでユーザーの声に回答はありません。 また、スタッフも回答しませんし前述のように歯に物の挟まったような表現でコメントせざるを得ない状況です。(バグ対応が完了したら改善方法のアドバイスをします)
この部分に関してはFZAURUSのボードオペとして関わっていた時分から不満に思っておりシスオペには何度かバグレポートに対する回答を求めていますが、なしのつぶてでした。
■webmaster@sharp.co.jpの対応は素晴らしいよね
webmaster@sharp.co.jpの対応はいつでも関心するぐらい的確なものです。
本来このセクションでは回答する必要が無いことなのかも知れないことまで調査をしてくれて回答をくれる場合が多いのです。
これが"@sharp.co.jp"の本来の姿(実力)だと思うのですが、zaurusplaza@wildbird.or.jpに同様のメールをしてもそういう内容はザウルスホットラインで聞いて下さいという回答しか出てこないのです。(それでも回答が付くのはマシでほ無回答の場合が多い)確かにユーザーサポートとしては「ザウルスホットライン」があるのでそこに聞くのが本筋ですが、メールした時点でわかってることぐらいは回答を付けてくれても良いようなきがします。(後から「証拠」となるメールとかを出すのを嫌がっている気がするのは私だけかな?)
■バグの改善状況度
さて本題に戻りますが、バグレポートに対して回答が無いからと言ってバグ対策がされないかというと、ある一定期間バグや仕様上の問題を蓄積した後で「改善、改良」という位置づけでMOREソフトによるバグパッチが公開されます。
この方針は複数回のアップデートによるサポートコストの上昇を抑える、ユーザーを混乱させない、バグ修正がバグを生む現象を極力抑えるといった点では有効で他のメーカーでも同様の対応をしています。
その中で指摘した問題点の改善されている部分がありユーザーの声が届いていると感じる物もありますが、直っていない物も当然あります。
困る点が、「何が直って何が未対応なのか?」がごく一部しか公開されていないという点です。この情報を公開すると未公表バグなど「寝た子を起こす」ようなことにもなりかねずこっそりとなおしているというのが本音だと思います。
本アップデートソフトにより「改善しました」と言われてもユーザー側では何の事かわからないというのが現状です。
◆改善の例
1.カラーポケットのNIFTY SERVE通信時のスクロール速度
98/06/18にザウルスポケットの「改善」ソフトも公開されましたが、当時問題となっていた手書き認識の他にNIFTY通信時のスクロール速度改善という項目なども含まれていました。
スクロールが遅いという部分に関して気づいていたザウルスポケットユーザーは非常に少ないと考えられます。
パワーザウルスユーザーがザウルスポケットを使っても14,400bpsモデムだからこの程度ぐらいの認識でしょうし、PIシリーズからザウポケユーザーになった場合も速くなったという認識になるはずです。
この点に関しては「改善」ということになるのですが、逆に考えれば「遅い」スクロールによりユーザーは無駄な電話料金と課金を強いられていたわけです。補足
前回のアップデートからわずか2週間(98/07/03)でザウルスポケット用アップデートソフトが公開されました。
今回はバグや不具合に対するアップデートではなく、NTTパーソナルから発売された341Sというコンパクトフラッシュサイズのデータ通信カード一体型のPHSをザウルスポケットで利用できるようにするためのアップデートです。
良い意味でのアップデートを迅速に公開したのでプラス評価ですが、実際にアップデートする側のユーザーは「なんで一緒にしてくれない?」というのが本音でしょう。(アップデート作業はメモリの余裕を作ったり全データバックアップしたりと結構作業時間を取るものなのです)
私自身ユーザーでないため体験していないのですが、ザウルスポケットにおいてアップデートVer1B,1Cを行うと各機能における体感的な処理速度が向上しているとのことです。
これは手書き認識が快適になったという心理的なものや簡易リセットを行うことによるメモリ整理という背景があるのかもしれませんが、複数ユーザーが共通に認識していることから改善なのだと思います。
こういった事も告知されないので「奥ゆかしい」と見るか「バグとの相殺」と見るか、情報公開の姿勢としては統一されているので良いのかな(^^?
2.MI-610における受信メール分類項目
この改善は全くアナウンスされていなかったため私もかなり後になって気付き驚いたものです。
当初MI-610の受信メール分類機能は、分類対象として"From","タイトル","本文"しかありませんでした。
この分類項目を見たときにホームページで「これじゃ実用的では無い、"To","CC","GCC"も必要だろう」と書きました。
もし、"To"や"CC"等に対する改善がなされたら当然アナウンスがあると思っていたのですが、実際には「手書き認識バグ」と一緒にひっそりと改善されていました。
この分類項目追加に伴いメールの一覧性が大きく向上しているのですが、改善告知が無いため気付かないユーザーも多数いると思われます。
これまでカラーザウルス、初代パワーザウルスとバグ修正を経験してきましたが、明らかな「バグ」は無くなりました。
バグ対応パッチソフトによって大多数のユーザーの不満が解消できることから対応度としては良好であると言えます。
しかし、使っていて「おかしい」と思う点や操作の流れから見て問題のあるもの、状況によって出たり出なかったりするものに関しては積み残して次世代機種で直すという傾向にあるようです。(代表例がインターネット接続IDの16文字問題でしょう)MI-506で感じていた「仕様上の問題」はMI-610でかなり改善されたと感じています。(100通以上メールサーバにメールが残っていると100通目以降が読み出せないとか、何度でも同じメールを受信するなどは改善されました。)
ただし、次世代機が出ると旧機種のアップデートは無くなるようで、この点は今後の課題と言えるのではないでしょうか?
携帯キーボード入力時の"NN"が"ん"に変換できるというMI-610で改善された点はMI-506ユーザーにとっても使い勝手を向上させるので何らかの対応を期待したいものです。(この他にデジタル携帯電話用通信カードの対応など)
98/07/15補足
旧機種のアップデートは無いと思っていたのですが、初代パワザウがアップデートしました。しかしながら初代パワザウだけの問題点改修ではなくて、パワーザウルス、ビジネスザウルス、ザウルスポケット共通に発生していた問題点を改修するためのアップデートが主体だったようです)
参考)秘密バージョンアップ(ダウン)
こちらは私も経験しているのですが、カラーザウルスの頃修理に出したらバージョンが上がっていた場合があります。
当時ザウルスプラザなどで公開されていたバージョンより新しいものになりました。
その逆に、PIAFS対応アップデートしたVer30が修理に出したら非対応のVer20になったこともあります(T_T)
修理に出した後は何か変化が無いかバージョンチェックをしてみましょう(^^;