以下の記述は98年11月頃のものです
■初めから勘違いしているMOREコン主催者
MOREソフトコンテストが開催されます。(98/11/01〜99/02/15まで募集)
シャープ株式会社の公式発表ページで募集要項が発表されていますが、これに関連して一つのコラムが掲載されています。
メーカーのページに掲載されるコラムなのでその内容がメーカー寄りになるのは致し方ありませんし、メーカーよりの姿勢を批判するつもりはありません。
しかし、現SZABユーザー、将来のSZABユーザー、現ザウルス関連プログラム製作者を愚弄する表現に一言しておきたいと思います。
これはHiroKi Fujihara氏のページへの応援でもあります(^^)V
■SZABを待ちこがれたユーザーの思い
私のページではSZAB発売前から、旧開発環境であるCE-KT5に関しての情報公開をしています。
当初はもっとアクティブにMOREソフト開発の流れやノウハウを公開することを目指していたのですが、CE-KT5に関わるシャープ(株)の心ない担当者により一旦は潰され、その後方針転換を行っています。
ほんの少しの間だけ公開したCE-KT5に関する情報ですが、その間にザウルスユーザーから「購入したいから販売元を教えて欲しい」という問い合わせをいただき販売元を紹介しましたが、結果的に購入できた方はいませんでした。
私のところに寄せられる「ザウルスでこういうことはできないのか?」「MOREソフトを組んでみたい」というメールなどを見るにつれ潜在的にMOREソフト開発に対する需要はあることを把握していたのですが、事実上CE-KT5はシャープ(株)が認めた企業にしか販売されず、個人など端から相手にしないという環境下ではどうすることもできませんでした。
■ザウルス関連のシェアウエアは成り立つのか?
シャープさんやコラムニスト氏が考えるほど、MOREソフトの市場は広くありません。
これはクロストークさんやマイクロキャビンさんといったメーカーですら店頭流通するには絶対的なニーズが無いという事実からも明らかです。
メーカーの場合は開発コスト+流通コスト+サポートコストまでをトータルに考える必要があり、ザウルスの市場出荷台数などから見てパッケージとして店頭在庫ができるほど売れないという判断をしていると思われます。
シェアウエアに関しては流通コストこそ削減できるものの、有償化して本格的にサポートするにはそれなりの人員とサポートコストが必要となります。
このサポート部分が個人レベルでは弱く、時として負担が大きくなりすぎて公開を中止してしまうという場合もあります。
■個人ユーザーを軽んじた事に対するツケ
MOREソフトコンテスト自体には賛成していますし、応援するつもりです。
この応援にはMOREソフトを組もうとする方への各種資料の提供とか、解説ページ、デバッグへの協力などを考えています。 また、開発時に便利な周辺ツール(Windows版)の供給も検討しています。
しかし、MOREソフトコンテスト発表と同時に掲載されたコラムから読み取れるシャープさんの考え方はMOREソフトの普及をメインに考えたものではなく、SZABを少しでも多く売ろうという魂胆が見えてきます。
もう一つ穿った見方をすれば、MOREコンに応募してきた開発者を企業向けソフトの開発に向けようという思惑すら感じられます。
CE-KT5の時代、シャープさんは個人に対して販売しようという気が全くありませんでした。
一つの意味としてはザウルスをハンディターミナル的に使うソフトを開発してもらい、ザウルスの一括導入をすすめてもらう営業上の方針でしょう。
もう一つの意味は企業にだけMOREソフトを作ってもらい、それが市販ソフトとなり店頭に並ぶことでザウルスの販売増につながるという期待でしょう。
結局、市販MOREソフトというのはシャープ製パッケージ以外はほんの数例だけしか実現できていません。
他のPDAを見れば、市販パッケージという形での実現こそ少ないのですが、書籍の付録などのCD-ROMに含まれる形で有益なソフトウェアの配布が行われています。
そのソフトに触発され新たな作者が登場し、さらに優れたソフトが登場するという好循環がPalmPilotやHP200LXの隆盛につながっているのです。
一方のシャープさんはPIシリーズのころからユーザが作るソフトについて懐疑的であり、積極的な情報公開/支援など一切ありませんでした。
そういった閉鎖的なメーカー体質に呆れて、ザウルスユーザーの中でもパワーユーザーと呼ばれる層が他のPDAへと乗り換えていったのです。
■ザウルス系シェアウエア作家の本音
さて、かのコラムニスト氏曰くの「MOREソフトのシェアウエアで金儲け」。
何甘いこと言ってるんでしょう。
私自身過去にザウルス関連のシェアウエアを多数公開していますが、儲かったなんて思ったことはありません。(そもそも儲けようという気も無いが(^^; )
一番近場の例が「MI-310基本インデックススキップMOREソフト」と「MIシリーズ用六曜データ生成ソフト(Windows用ソフト)」でしょう。
それなりに価値あるソフトですが、送金はほとんどありません。(送金してくださった皆さん、ありがとう(^^)/)
ザウルスでシェアウエアを作る場合の問題点としてはパスワードロックをどうするかという点で、市販MOREソフトでは所有者情報からデータを生成してパスワードとしている場合がありますが、これも所有者情報を変えると使えなくなるという問題点を含み万全の方法ではありません。
また、ザウルスの場合、時として初期化しなければならない事態に陥ることがあるため、その度にパスワード再発行依頼も届くことになり、サポートのための労力が増えます。
◆作ったMOREソフトどこで配付するんじゃい?
さて、コラムニスト氏の言うとおり、MOREソフトを公開しようとします。
その時どこで配付するつもりなんでしょうか?
NIFTY SERVEにおいてザウルスといえばザウルスフォーラム(FZAURUS)です。
ザウルス絡みとしては他にFPDAJやFSHARPがありますが、ザウルスに関する情報を目的とした参加メンバーの多さでいえば圧倒的にFZAURUSの方が多いでしょう。
さて、FZAURUSでユーザーが作ったMOREソフトは公開できるのでしょうか?
答え:できません。(1998/10/25の時点)
公開するには自分のHP上か、NIFTY SERVEのFZAURUS以外のフォーラムしかありません。
もし、シェアウエアで金儲けを目指すとすれば、対象ユーザーが最も多い場所での販売ができないわけです。
どこで公開したら金儲けできるのか? 教えて欲しい物です(^^;
◆誰がソフト開発を支えてくれると思っているのか?
もう一つ、コラムニスト氏が勘違いしているのはフリーウェアやシェアウエアが作者一人の力で成り立つ分けではないということです。
Windows 系のプログラムであればユーザー層も厚く汎用的なプログラムを出せばベータ版によるテストリリースも比較的簡単、かつユーザーの協力も得やすい状況です。
ザウルスの場合はユーザーこそ多いものの、アクティブに他人の作ったソフトまで評価しようとする人は少ない環境といえます。
その環境下で作者はソフトを作り、ユーザー側ではデバッグなどに協力し細々とソフト公開が進んでいます。
ソフト開発の大半は作者努力とはいえ、それを支えるのはユーザーなのです。
そういった状況を理解することなく、作者側の立場だけで「金儲け」をそそのかすコラムニスト氏、そのコラムを平然と載せたMOREコン関係者の見識を疑います。
多分、ザウルスを最後に支えるのはシャープさんではなく、ユーザーが作ったMOREソフトとそれを使うユーザーだと思うのですが、PDA戦国時代となる2000年にザウルスはそのシェアを保つことができるのでしょうか?
99/10/12補足
ちょうど1年ほど前の記述ですが、当時とは若干環境が変わりSZABサポートWeb上でMOREソフト作家の皆さんへのリンクが公開されMOREソフトの知名度があがりました。
またSZABそのものも安価(4万円ぐらい)となり、体験版という名目での無償配布も常時行われるようになっています。
一部ソフトはシェアウエアとしての配布も行われており、活況を呈しています。