■押さえどころ
アルプス社アトラスシリーズの地図データをパワーザウルスで利用できます。 地図上で必要なエリアを範囲指定するとそのエリアに含まれる複数の地図ブロックデータを自動的に切り出しパワーザウルスに転送することができます。 同じエリアを含む複数の縮尺地図を転送することができます。 フォトメモリを利用して地図上に図形等を加筆することができます。 フォトメモリを経由して地図画像をFAX送信することができます。(640x480ドット) |
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詳細な地図を使う場合はそれなりにメモりを消費します。 またパソコンからパワザウへの転送時間も予想以上にかかります。 日中の屋外では液晶画面がほとんど見えまないため地図代わりとしては難があります。 対ザウルス通信時の設定が記憶されないので何度も設定しなおす必要があります。 |
■プロアトラス97 パワーザウルス2対応版
パワーザウルスの頃は「ザウルスクリップ(*1)」を経由してフォトメモリに地図画像を転送して地図代わりに利用していましたが、パワーザウルス2では付属のソフトコレクションCD−ROM内に収録されておりアルプス社のプロアトラス・パワーザウルス2対応版から直接データを転送することができるようになりました。(他のアトラスシリーズもアトラス社のHPからパワーザウルス対応版をダウンロードすることで利用できます。 ただしMI-500系には対応していません)
(以下、地図部分の著作権は株式会社アトラス社にあります。 また地図の縮尺は17インチディスプレイに対するものです。 色に関しては最大限の減色を行っているため実際の色とは異なります)
アルプス社のホームページもご覧下さい。
プロアトラス97 パワーザウルス対応版(名古屋地区) |
■対象範囲の切り出し
プロアトラス側で範囲指定することでその範囲内に含まれる複数の地図データを一括してパワーザウルス2に転送することができるようになっています。
地図データに関してはプロアトラス側でフルカラーの他にグレイスケール、ハーフトーンの色合いを指定することができ、その色合いの画像データがパワーザウルス2に転送されます。 |
地図転送の秘密->undocumented 地図 |
■ザウルスへの送信ダイアログボックス
本来はこのメニューからザウルス通信を選択するとこのダイアログボックスが開き、「領域指定」ボタンをクリックすると地図上の範囲指定を行うことができます。
その後、送信エリア一覧が表示されるのでその中で必要な画像を選択します。
送信エリア一覧 1/7万広域図が上記地図の指定範囲に該当します。 |
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パワーザウルスに転送された地図リスト 名古屋南部が上記地図の指定範囲の広域図です。 これらの地図データはプロアトラス側で自動的に必要エリアとして切り出されます。 一旦パソコンデータとして受信後地図ビューアで読み込みます。 |
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「パソコンデータ」から地図データを読み込む パソコン型式データ読み込みを使い地図ビューアデータに変換して利用します。 |
地図ビューア上で上下左右に地図をスクロールさせることができ、1枚の地図の範囲外に出た場合でも隣接地図データがあれば継続してスクロールさせることができます。
1/7万広域図 上記プロアトラス原図の広域部分を1データとして表示しています。 スクロールさせて全体を見ることができます。 |
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1/2万詳細図 地図ビューアの拡大ボタン にタッチした後で広域図の拡大したいエリアにタッチするとそのエリアに拡大図(拡大縮尺図)がある場合には詳細図が表示されます。 複数の地図間でスクロールできるため1枚の大きな地図がパワーザウルス上にあるかのような表示ができます。 |
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1/1都心図 詳細図上にさらに都心図に該当する縮尺図が含まれる場合には拡大ボタンを利用することで詳細な都心図が表示されます。 このクラスになると番地まで表示されます。 |
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地図データの拡大/縮小時間 他の結果は「地図ビューアベンチマーク」を参照 |
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地図データへの加筆 地図データを一旦PCデータとして送出しフォトメモリ上で加筆します。 そのデータを元の地図に上書き(貼り込み)すると加筆された地図データの出来上がりです。 |
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地図データの加筆ができない場合 変換後の画像データサイズが126KB(フォトメモリの仕様上の上限)を超える場合はPCデータ送出を実行すると左のようなメッセージが表示され加筆のための処理ができません。 この問題は1/2広域図で顕著に出るようです。(640x480ドットの地図画像の中に引っかかるものがあるようです) |
地図データをFAXした例 地図データをフォトメモリに転送してFAX送信することができます。 |
■地図ビューアの問題点
1.線や文字がぼやけて見える
使っていて気になったのは液晶画面で見ると「ぼやけて見える」という点でパソコンのディスプレイで見るとハッキリ見える線や文字がパワーザウルス上ではやや不鮮明になります。(実用上の問題はありません)
これはプロアトラスの地図自体に「アンチエイリアス」という輪郭線のギザギザを補正する処理がなされているためだと思われます。
パソコンのディスプレイでも目を近づければパワーザウルスと同様に輪郭線の「ぼやけ」がわかりますので間近で見るPDAとしての特性上の問題かもしれません。(多分Windows CE機やノートPCでも同じ点が気になると思います)
2.明るいところでは画面が見えない
これはバックライト液晶の宿命とも言える問題ですが、日光の下では画面が全く見えません。
日中の日陰でもかなり見にくい画面となります。
地図ビューアを紙の地図代わりに利用するためにはフィルタを使うなどの工夫が必要になります。
3.あとちょっとができない
こちらはパワーザウルス2の問題ではありませんが、地図データの境界線上にある場所など「あとちょっと」で画面の中心にスクロールできるような場合に「あとちょっと」の移動ができません。
必ず1ブロック単位で動いてしまいます。
これは紙の地図でも一緒ですが、電子地図の特性を活かして2枚の地図にまたがる場所などは2枚の地図を合成して表示できるようにしてほしいものです。(フォトメモリ上で合成することができないわけではありませんが、結構面倒です)
4.それなりにメモリを食う地図データ
地図ビューアは大変便利な機能ですが、大飯食いです。
上記のエリアをパワーザウルス2に転送する場合は「1/7万広域図」1枚(80KB)、「1/2万詳細図」6枚(600KB)が必要となります。
これだけで約700KBですが、更に同エリアの「1/1万都心図」を転送する場合約3MBのファイルサイズになります。
いくら大容量メモリのMI-610とはいえ地図データを本体上に置くと他の機能の利用に差し支えるぐらいのメモリ消費量となりますので、フラッシュディスク上に展開したほうが無難でしょう。
ただし、フラッシュカードの種類によってはフラッシュメモリのアクセスタイムが遅い物があるため、本体上なら3秒で処理できるものが数倍かかる場合があるようです。
5.なぜかかかりすぎる転送時間
アトラスプロからパワーザウルス2へ地図データを送信する場合、 115,00bpsケーブル接続を利用しても理論値の5倍以上かかります。(理論値は10KByte/秒程度)
プロアトラスの送信設定画面上で約680KBと表示された地図データを送信すると計算上は70秒で転送できるはずですが、約7分(6倍)かかります。(Pentium 133MHz Memory 32MBのパソコン上で利用した場合)
この点に関してプロアトラス側の挙動を見ていると転送する時に該当範囲の地図データを原図から切り出して"PNG"型式に変換するプロセスがあるようです。
該当範囲を切り出し->"PNG"型式に圧縮->パワーザウルスに転送の繰り返しだと思うのですが、それでもちょっとかかりすぎのような気がします。
営業活動などで地図ビューアを使う場合には地図データの転送時間がかかることをあらかじめ見越して転送をしておいたほうが良いでしょう。(忙しいときに限って地図データの転送に時間を食われます)
6.プロアトラス側転送プログラムの仕様(バグ?)
プロアトラス側の対ザウルス通信プログラムは通信設定が保存されないようです。
そのため、毎回通信設定を行う必要があります。
これは使いにくい仕様なので改善が望まれます。
7.プロアトラス実行部はアップデートされています。
プロアトラスの実行部はMI-610標準添付のもの(初期ロット)がV1.53ですが、98/06/06現在V1.55が公開されています。
対ザウルス部分に関してはV1.53とV1.55の差は見かけ上ありませんが、細かなところが直っているようなので気になる人はバージョンアップしてみましょう。
アルプス社のホームページからダウンロードできます。